ヒーローショー






2010年11月17日



あらすじ

自堕落な日々を送る専門学校生のユウキは、ヒーローショーのバイトをすることに。
ある日バイト仲間のノボルが、同じくバイト仲間でユウキの先輩・剛志の恋人を寝取ってしまったことから、ショーの最中に大乱闘が勃発。
それでも怒りが収まらない剛志はノボルを強請ろうとするが、ノボルも兄の紹介で自衛隊上がりの勇気を味方につけ逆襲を謀る。
そしてユウキたちも巻き込まれた暴力の末に決定的な出来事が起きてしまい……。


制作国 :日本
公開日 :2010年5月29日
上映時間 :134分
配給 :角川映画
監督 :井筒和幸
脚本 :吉田康弘 羽原大介 井筒和幸

出演

後藤淳平 福徳秀介 ちすん












■ ハイジン

今回は、映画「ヒーローショー」なんですが「ヒーローショー」は当たらなかったみたいですね。






■ ニクロ

 俺は映画館で客が俺一人だけでしたからね。100席くらいあるんですけど。
たぶん、その日がその映画館の上映最終日で、いつまで経っても他の観客が来なくって、一人のまんま映画が始まっちゃったっていう(笑)






■ 電脳BOY

なかなか無いですよね、一人ってのは。






■ ニクロ

 結構、笑える所は笑える映画だったんでそこはちょっと苦しかったですね。
自分の笑い声でカバーしなきゃいけない。変な気持ちが。






■ ハイジン

観たのってMOVIXですか?






■ ニクロ

そうですMOVIXです。






■ ハイジン

MOVIXだと「映画って楽しいな〜♪」という歌が上映前に(笑)






■ ニクロ

そうなんです。「みんなで観ると興奮100倍、みんなで観ると感動100倍」という、映画って一人で観るもんじゃない、という歌を一人で聞いていたという(笑)






■ ハイジン

 実際、全然入って居なくて同時期に公開された「告白」に全部持っていかれた、みたいな格好なんですよね。
俺は「告白」も観ましたし、同じ時期に公開された「アウトレイジ」も観たんですけど、俺は「ヒーローショー」がダントツで面白かったんですよ。期待値も結構高くって。
バイオレンス映画だと聞いていて、それでタイトルが「ヒーローショー」だったんで、それで結構面白そうだな、と思っていて。
「やられたら、やり返す」という話だと聞いていて。予告編はそんなに面白そうな気はしなかったんですよね。
ただ、本編を観たら持っていかれましたね。






■ 電脳BOY

持っていかれましたか?






■ ハイジン

 持っていかれましたね。途中、中だるみはあったんですけど、結の部分でグッと引き締まったんで。
エンドロールのS・O・Sの所で久々にポカーンとなりましたね。






■ ニクロ

 まあ、そっから話すのなんなんですけど、アレばっかりはないですね(笑)。
ラストのエンドロールでピンクレディーのS・O・Sを流すっていう。あのセンスに僕は愕然としたというか。
たぶんね、井筒監督自身が昭和歌謡曲に対する興味があるんですね。
 実際「のど自慢」という映画を撮ってたりだとか。「パッチギ」にしろ「ゲロッパ」にしても割りとムーディーな昔の曲を井筒監督ってのは平気で使う人で。
それがハマってる時はいいんですけど、「ヒーローショー」のあのラストは、一応は未来に向かって飛翔しているような絵で終わり黒味に入りつつ、ラジオから流れてくる曲が懐メロっていう、この(笑)。
 この組み方ってのは、幾ら曲がよくっても俺的には受け入れられないというか。
井筒監督の選曲センスがコケたな、って気がしましたね。






■ ハイジン

俺はかなり良かったんですですね。S・O・Sは。






■ ニクロ

それは理屈はないんですか?






■ ハイジン

 単純に記号の意味での、ラストの雰囲気と曲調の明るさ、でも持っている言葉の意味で正にS・O・Sだなと。
何か合わせ技一本みたいな。






■ ニクロ

あの、S・O・S以外にも近い曲があったんじゃないかって気がして。






■ ハイジン

S・O・Sって言ってるわけですから、そりゃあアレしか。






■ ニクロ

 いや、解るんですよ。解るんですけど、いわゆるヘルプミー的な曲で。
まあ、あのラストに落ち着く曲も探せばあったんじゃないかって気がしなくもないんですけど。






■ ハイジン

ビートルズのHELPは違いますよ?






■ ニクロ

アレは全然違いますよ。昭和歌謡的なモンにしても。






■ 電脳BOY

探してみたら?






■ ニクロ

 うん、幾らなんでも俺は、あの曲は正気の沙汰を疑ってしまう(笑)というか。
本当にもう、ビックリするくらい歌詞の言葉を抜きにしてもあのメロディーと、あの映画が何も繋がりがないというか。
本当に好き嫌いの好みで選ばれてるとしか思えない唐突な出し方だったんで。
アレを最後に持ってくるのは、どうかしてるな、と思って。
 まあ、ラストを抜きにすれば選曲センスは抜群に良かったと思うんですけどね。
S・O・Sだけが唯一ダメで。他のBGM等は割りとBGMは沢山使われているんですけど、意外と映画を観終わった後に沢山BGMが
使われている気がしないんですよ、この映画。
 だから、ホント最低限の配慮でBGMというモノを使っていて、その辺の音に対する監督の神経が今回は行き届いてると思ったんですね、S・O・S以外は(笑)






■ 電脳BOY

強調しますね(笑)






■ ニクロ

 それ以外に関してはホントに良くて。殴る音にしても物凄く、生ぬるくビシッみたいな、TVで付けるちゃっちい音ではなくって、ちゃんと重みのある音を使ってたんで。
音の拘りが今回はしっかりしてるな、と思って。なかなか面白かったですけど。






■ ハイジン

電脳BOYは感想としてはどうですか?






■ 電脳BOY

俺は、討論夜話でやると聞いて観たんですけど、予告編を観た限りではまあ、絶対観なかったでしょうね(笑)。






■ ハイジン

予告、酷いですよね?






■ 電脳BOY

予告酷いね。






■ ニクロ

 この映画ってね、予告が酷いというか場面転換がめちゃくちゃ多いんですよ。最初の漫才の所から、家の中、山奥、海岸、バイト先。
シーンだけで50くらいあると思うんですよ。で、アレを予告編で解りやすく見せようと思ったら、確かにあの見せ方しかね。
俺も見終わったら後で家に帰って予告編を観て見たんですよ。そしたらあのやり方しか無かったんですよ。
だから、決して罪はないんですね。予告編を作った側に。






■ 電脳BOY

 まあ、それで予告編を観て、これ絶対に面白くないなと思って。でも、実際行ってみたらなかなか安定感のある映画だったんで。
でもそこまでは評価出来ない。評価できるのは中盤までなんですね、俺は。






■ ニクロ

中盤というのはどの辺ですか?






■ 電脳BOY

中盤というかリンチ。リンチが終わるまで。






■ ハイジン

明らかに構成としては前編・後編ですからね。リンチが終わって一回切りますよね。






■ 電脳BOY

 あの中盤までは予告と全然違ったんで。リンチの所とか。予告だとすごいポップだったじゃないですか?
で、あの中盤でこうゆう映画なんだ、と思って。予告で騙して、っていう感じだと思ったんですよ、俺は。
だから、そのリンチの場面はすごい二ヤッと出来たんよ。でも、それが終わるとポップなよくわかんない話になって。
もうそれで面白さがプラマイゼロになったんですよ。あのまな暗い感じでずっとやってたら俺は面白かったんよ。
だからその状況について行けなかった。






■ ニクロ

 詰め込みすぎな所はありますよね。ネタを詰め込みすぎと言うよりは、展開を詰め込み過ぎというか。
まあ、とりあえず全部は見せてくれるけれど。たぶん、興行的に受けなかったっていうのも理由はそこなんですよ。
要するに「ヒーローショー」というタイトルを背負うだけのコンパクトな話やった、って言ったら映画をナメてる感じなんやけど、何か少なくともそっちやったら、俺的には評価は下がるんだけど世間的にはウケてたんですよ。
何か「ヒーローショー」というタイトルほど、「ヒーローショー」を背負ってないじゃないですか(笑)。
発端はそうなんですけど。






■ ハイジン

 「ヒーローショー」ってアイロニーというか、勧善懲悪の象徴として付けただけですからね。
発端が「ヒーローショー」だったってのは、ただのマクガフィンで。
「ヒーローショー」というタイトルにそこまで背負わせてしまうのは、俺としてはちょっと可哀想というか気が。






■ ニクロ

 実際にね監督もその意思はあったと思うんですよ。「ヒーローショー」というその響きとか。
タイトルを付けるとしたら、これしかないな、という所で作ったんだろうなというのが、冒頭映画が始まって10秒顔を伏せてた人はあの「ヒーローショー」というタイトルに出逢えないわけなんですね。
物凄く有り得ないくらい速攻で出てくるじゃないですか、タイトルが。漫才の舞台の袖の方で。
しかも、「ヒーローショー」というタイトルのフォントがタイピング打ちみたいなフォントで、タイピング打ちで出て来て、で、すぐに消えちゃう。
この映画に関してはタイピングの音ってのは作品と全く関係ないわけで。タイトルの出し方も予告編で観た「ヒーローショー」と全く違うわけで。
ホントにサクッと出して、サクッと消えるみたいな。だから、アレは「ヒーローショー」の陽的な響きを監督が早々に消し去ったと思うんですよ。
じゃなかったら、タイトルの唐突な出し方ってのは無いと思うんで。アレはちょっとビックリしましたね。
まあ、タイトルの出し方はそんなに拘る監督ではは無かったんで。元々、タイトルにも拘らない監督だと思いますけど。









黒い影









■ 電脳BOY

やっぱり、予告とのギャップが凄いあって。全く違うモノだったら良かったのに。






■ ニクロ

 たぶん「ヒーローショー」というタイトル、井筒監督、で、あの予告編を観たらいい意味で頭の中でストーリーを勝手に作っちゃうわけなんですよね。
それに対してハマっていかない違和感というか。そこを俺は全力で褒めたい感じなんですけど。
ただ、世間の人的にはハマりたかったんじゃないんですか?そこに。






■ 電脳BOY

 俺は、元々面白くないと思ったから。予告を観て。まあ、中盤までは面白かったけど。
あの予告を見て「面白そう」と思った人は、裏切られた感じになると思うんよ。
1800円払った価値はまあまあ、あったとは思うけど、俺は。






■ ニクロ

俺は結構あると思うんですけど、まあそうなんですよね。






■ 電脳BOY

実際予告観て払いたくなかったからね。






■ ニクロ

そんなに(笑)






■ ハイジン

 予告編は最悪でしたね。俺も最初はちょっと期待してたけど、あの予告編を観てこれはがっかりになるのかなと。
でも俺は観終わった後は、かなり満足してて。この中では一番評価してると思うんですけど。
この2〜3年の間に観た邦画の中で一番面白かったですよ。






■ 電脳BOY

そんなに?






■ ニクロ

褒めるね。






■ ハイジン

 で、この面白さの正体って何だろうな?と思ってたら、ある一つの名前が出て来て。
それは、古谷実なんですね。






■ ニクロ

俺も、全く同じ事を思いましたね。






■ ハイジン

 思いました? 中盤でリンチを犯した後くらいから、明らかに登場人物の中に黒い影が現れるんですね。ずーっと。
その黒い影って、現実世界の中でも出て来る可能性があって、その黒い影をずっと描こうとしていたのが古谷実なんですね。
特に「シガテラ」が一番強かったと思うんですけど。アレもそうゆう、ヤクザだとか、殺人とかそうゆう黒い影が現実世界に侵食して来る、見えない恐怖ってモノを「シガテラ」って描いていたんですね。
谷脇と出逢った瞬間のドキッとするような。






■ ニクロ

 俺も、まんま谷脇やと思ったんですよ。暗闇のボコりの感じと。
俺も言われなかったら何処かで、「これ古谷実っぽく無かったですか?」って言おうと思ったんですよ。






■ ハイジン

間違いなく00年代前半の古谷実の雰囲気はあって、00年代後半の漫画界では古谷実が描こうとした世界を全て「闇金ウシジマくん」が持っていったんですよ。






■ ニクロ

でも、ウシジマ君はプロットはしっかりしてるタイプの。






■ ハイジン

 ウシジマくんも黒い影を描いていて。殺されるとか、ヤクザに襲われるだとか、日常に潜む黒い影がウシジマくんの世界にもあって。
「ヒーローショー」ってのはその辺を明確に描けていて。それを一番象徴しているシーンが、事件があった、という事実を残した後に選挙に立候補する親を持つ息子達の家で、鍋を囲みながらメシを食ってる時にテレビのニュースで事故を伝えていて、その事故現場に殺人に利用したワゴンが映って、その瞬間に弟が食ってたモノを吐き出すシーンがあるじゃないですか。
アレこそが一番この映画を象徴しているシーンというか。黒い影を何処かで忘れようと思っているんだけれども、目の前に出た瞬間に全てが逆流してしまう。
俺は、あのシーンを観た瞬間に感動したんですよ。本当に。
あーゆうのって、今までに経験は無いんだけれども本当的に解るんですよね。実際に起こった事を何処かで封印したいと思ってるんだけれど、出てきた瞬間にフラッシュバック的に黒い影に覆われる、っていう。
描こうとしている事が、あの食卓の場面の1シーンだけでも伝わってくるんですよ。暴力を振るわれるかもしれない恐怖。
それらを絶妙な位置関係で描いている。それでいて、結の部分もしっかりオトしているんでそうゆう意味で評価したんですよ。






■ ニクロ

まあ、ただ間違いなく井筒監督は古谷実は読んでないわけですけどね。






■ ハイジン

 読んでないでしょうね。ただ、これって普遍的というか。新しいっていう発想ではないんですよね。
昔から脈々と語り継がれて来ている話なので。別にこの話が、今やるべき事なのか、と言ったら別にそうでもないんですけど。
ただ今の若者に重ねて描くと、逆に新鮮に見えるんですよ。本気でやられると。









ピースサイン









■ ハイジン

 リンチで一回死にかけた男を埋めるぞっていう時に、ファミレスに居る時に車から逃げるじゃないですか。
あの時に男がピースサインをするじゃないですか。あのピースサインが俺の中では結構、引っ掛かっていて。
何処まで観客に見せる、という意味を含んでいるのかと。あの時は福徳が助手席に乗っていて、福徳に向けてピースサインをしたとも取れるけど、モロに観客に向けてやっているとも取れるような。






■ 電脳BOY

してやったりの?






■ ハイジン

復活したぞ、と観客にしていると。アレはカメラ目線でしたからね。






■ ニクロ

あそこは、そっちの目線とも取れるし、こっち目線とも取れますからね。






■ ハイジン

「ファニーゲーム」的な事でもないんだろうけども。でも、俺はわざと観客に向けてやってるように思ったんですね。






■ ニクロ

まあ、それで・・・






■ ハイジン

あっ、もう流しますか?(笑)






■ ニクロ

いや流すというか、そんなに深めていく話でもないような。






■ 電脳BOY

わからんもんね。






■ ハイジン

そうですか。俺は、結構重要というかずっと気になってたんですよ。






■ ニクロ

 単純に笑わせる演出でもあるんやろうけど。あそこは観ていて、張っていた肩がちょっと落ちるからね。
何かホッとするというか。






■ ハイジン

ホッとしますか?






■ ニクロ

やっぱり、あの男が生きてるって事は、観客にとってはある意味安心なんですよ。






■ 電脳BOY

死んでなかった事が?






■ ニクロ

要するに、一つの救いと言うか。






■ ハイジン

いや、アレが生きてたってのが、ある意味で一番の恐怖じゃないですか。






■ ニクロ

まあ、そうやけど殺しちゃったってのは、言ったら死刑じゃないですか。極端な話あいつらが。






■ ハイジン

それはバレなきゃいいわけやけども。






■ ニクロ

 ココは観客がその場の当事者になれてるかどうかの違いだと思うんですよ。
俺としては当事者の気持ちで、途中からはあいつら目線で観ているわけで。
で、俺が殺したとなると、「ハッハッハッ」ってなるんだけど、ただそこであいつが生きてた、ピースサインをしたって時に、「ホッ」ってなるんですね。






■ ハイジン

俺はもう、あいつが生きてたって事は、明日もしかしたらウチに殺しに来るかもしれない、あいつらがやって来るかもしれない、という。






■ ニクロ

でも、その前に対策の立てようはあるわけで。






■ ハイジン

 あるけれど、あそこまでボッコボコにしたら、間違いなく今度は更なるリンチに合わされるわけじゃないですか。
実際に、最後はそうなったわけだけど。






■ ニクロ

でも、実際に最後は殺してはないからね。






■ ハイジン

 殺してはいないけれど、アレって要するに復讐の始まりですからね。俺は、正直彼女がレイプされなかっただけ救いがあったなと思ったんですよ。
そうゆうフラグが立ったと思ってたんで。






■ 電脳BOY

あるかもしれないと?






■ ハイジン

あそこは、色んな意味で終わりの始まりというか。今回はこれぐらいで済んだけど、っていう。






■ ニクロ

 でも、それは最後まで観た上での結論であって。俺がその時の当事者の気持ちになると、第一に自分が罪を犯さなかった、という安心感の方が強いんですね、どっちかっつうと。
やっぱり、人に殺すよりも殺されたい、みたいな所はあるんですよ。変な話日本人の感覚では。特に俺はそうゆう気持ちが強くて。
まあ、こうゆうのは戦争になったら話は違うかもしれないけど、でも、やっぱり基本的には自分は手を汚して殺すよりは人に殺された方がまだいいな、という気持ちはどっかにあるんで。
あのシーンに関しては俺はちょっと安心したんで。






■ ハイジン

それって、ちょっと平和ボケしてませんか?






■ ニクロ

 平和ボケというか、監督自身そうゆう意図で撮ったんじゃないんですか? あそこは、たぶん。
観客に対しての一種の安心で、で、安心した後に更に生きてる先輩を埋めるという、この山と谷じゃないですか。







■ ハイジン

いや、アレは明らかに俺はまだ生きてるぜ、というピースですよ。






■ ニクロ

いや、そうですよ。






■ ハイジン

生きてるってのは安心させるっていう意味じゃなくって、これから地獄を見せてやる、っていう。






■ ニクロ

でも、その割りにはエラい可愛い笑顔だったじゃないですか。






■ ハイジン

ゾンビとしての復活じゃないですか。






■ ニクロ

あの笑い方ってどう考えてもニコッていう、首を捻ってそれが何かもっと不気味には出来るんですよ、スタッフの力では。






■ ハイジン

俺は、凄いゾクゾクと来たというか、恐怖を感じたんですか。






■ ニクロ

いやあ、アレはホラーというよりもコメディに近い。






■ 電脳BOY

あー、俺もどっちかつうと、ちょっと休みみたいな。






■ ニクロ

 時々ね、井筒監督ってちょっと、ギャグみたいなカットを入れる事があって。
やっぱ、あそこも展開的にはあまり深く考える所ではないと思うんですけどね。






■ ハイジン

 俺はね、やっぱりあいつが生きてる事が黒い影だと思うんですね。登場人物達の。
むしろ、あいつがもし死んでたらぐっすり眠れるんですけどね。当事者であったとしても。






■ ニクロ

 でも、あそこで物凄い血ダラダラ流しながら、体引きずりながら出て行くと観客も引く所はあると思うんですよ。
ハイジンが思った想像よりも更に恐ろしい気持ちになるじゃないですか。たぶん、そうゆう描き方をした方が。
だから、ニコッて所がハイジンは、ハイジンが思う程度の恐怖とかそうゆうモノを感じたんだけど、俺が監督だったらハイジンの意図に沿うようにするんやったら、もっと怖く撮る。
でも、撮らんかったって事は、いつもの井筒監督の和みというか本気本気本気のドラマの中の、ちょっと虚構を入れるような仕込みに見えたんですけどね。






■ ハイジン

 そこに、ゾクゾクッと来るような意図が無かったとしても、あそこであいつが生きてる事にどうゆう意味があったのかと言えば、終わった事件の一つの終わりきれてない種じゃないですか。






■ ニクロ

 別に生きてて、後々に復讐するって事は見ている方にも解るけど、ただその事をその時点で想像して震える観客も居れば、あそこで生きてた事を、ちょっとギャグっぽい演出で見せられる事に、ちょっと息詰まったのがホッとする観客も居るっていう、その二通りのパターンでいいんじゃないですかね。









チワワ丸焼けにするぞ









■ ニクロ

あの台詞、どう思いました? 「チワワ丸焼きにするぞ!」っていう(笑)






■ ハイジン

 まあ、インパクトのある台詞なんですけど、ホンモノのチワワを出す必要は無かったんですよ。
アレは余計ですね。あざとかったかな、と思うんですけど。






■ ニクロ

 アレはサービスカットじゃないですか。可愛いでしょチワワ、っていう(笑)
それで、俺がたぶん、一番笑ったのが「I LOVE NEW YOWK」のTシャツを着てるオッサンが先輩を埋めて、上から土をかける時に後藤が「やれ!パットン!!」っていう言うんですね(笑)
あそこがホントに一番面白かったんですけど。あそこが一番笑いましたね(笑)






■ ハイジン

一人の映画館で(笑)






■ 電脳BOY

誰にも気にしなくていいからね(笑)






■ ハイジン

 パットンさんとかの、裏のハローワーク的なモノは現代的で俺は良かったですね。ケータイですぐに掲示板で募集してってのは。
ケータイ電話を思いっきり投げる所とかに、現代とリンクする気持ち良さがあるんですね。
いかにケータイが大事なモノなのかって事が。






■ 電脳BOY

 確かに、あそこは「痛てぇな」って(笑)。暴力とかではなくて、精神的にケータイ飛ばされたら、痛いなっていう。
あそこ良かったね。






■ ハイジン

投げる飛距離も凄いからね(笑)






■ ニクロ

どうしようもない距離やったからね(笑)






■ ハイジン

そう(笑) それでは、今日はこの辺で。



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