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20世紀少年 
- 第2章 - 最後の希望




2010年1月11日



あらすじ

“血の大みそか”から15年後の2015年。
歴史では、2000年の巨大ロボットによる 人類滅亡計画は、悪魔のテロリスト、ケンヂとその仲間が行ったものとされ、それを阻止した“ともだち”は救世主と崇められていた。
高校生になったケンヂのめいであるカンナは、そんな“ともだち”中心の国家に反抗し、問題児とみなさ れてしまう。
ある日、同級生の小泉と共にともだちランドに行くことが決まり・・・

制作国 :日本
上映時間 :139分
公開日 :2009年1月31日
配給 :東宝
監督 :堤幸彦
脚本 :長崎尚志 渡辺雄介

出演者

唐沢寿明 豊川悦司 常盤貴子 平愛梨 香川照之 石塚英彦







 前回「大阪ハムレット」に引き続き、原作は浦沢直樹の人気コミックの映画化。
制作費60億円をかけ、邦画には類を見ない宣伝の仕方とキャストの豪華さで話 題を呼んだ三部作の足がかり的な意味の大きい第2章だ。
第1章は賛否両論ではあったがトータルとしてはまずまずの評判と興行収入をもって終了した。
「トゥ  ビー コンテニュー (続く)」と堂々と銘打った前作のラストからどこまで 謎は明かされるのか?原作ファン未読ファンともども期待は高まる。
が、20世紀少年&21世紀少年を全巻所有し、第1章も映画館で観たおれに今 回は客観的な見方をあまり期待しないで欲しい。
未読者の目線で語るには、おれは少々内容を知りすぎているし、作品に深い愛情がある。
学生時代に同級生で同 じくファンの友人と「20世紀少年が実写映画化したらキャストは誰になるか」 という話題で盛り上がっていたほどだから、その4年後、あまりにも早く実写化 が決まったときは嬉しくて仕方なかった。
映像化できんのか?という思いも当然 あったが、そんなものは期待感の膨らみに押しつぶされた。
仕事中も頭の中であのシーンはこんな風になるんじゃないかと脳内空想映画を組み立て、キャストが公開されるや、頭の中で漫画の顔だったキャラクターはすぐに実際のキャストの 顔に塗りつぶされた。
そうして構築していったニクロ版「20世紀少年」を携え、1作目を鑑賞した。感動した。
漫画しか見れなかったあの街がそこにあって、吹き出しのセリフを漫 画そっくりの役者たちが喋る。喋るだけではない。
漫画のコマと同じように動き回る。巨大ロボットがあの「ズーン ズーン」の地鳴りと共に街を滅茶苦茶にし ていく。
観ているうちにいちいち漫画のシーンを思い出すくらい原作に忠実で、観ている間「ああ、まだ終わらないでくれ。もっと観たいんだ」と願った。
つま りおれの「20世紀少年」に対する評価は「いかに再現しているか」に尽きる。
つまり映画の内容へのまっとうな評価とは言えず、それは自分でも分かっている 。
 ただ、作品を頭からケツまで舐めるように知り尽くしているおれが「原作」を 切り離して「映画版」を評価するのは気持ち悪いし、やりたくない。
それにそう いうファンも取り入れた映画なのだからおれの意見も認められていいはずである 。
第2章の今回もそういった点を踏まえて書くのでご了承いただきたい。

 第1章は原作に忠実だったのに対し、この第2章では脚色が多々見られる。単純な省略もあるだろうが、原作とは違う「結末」に向かうレールであることは間違いない。
それでいて世界観はしっかり「20世紀少年」だったので安心した。2014年という近未来を新たな演出で説得力のあるものにしているのもGOOD。
漫画とドラマのリアリティの性質の違いを見たようで面白い。そのまま実写化して はいけないシーンもあるのだ。その綱渡りが実に巧い。
60億といってもハリウ ッドに比べれば一本分にも満たない制作費をちゃんと有限利用しているのにも好感を持った。
カンナ役の女の子が紹介されたときに「これカンナか?」と思ってしまい、出来 レースとまで噂された平野はスクリーンで動いて喋ると立派にカンナだった。
いや、気迫は原作のカンナ以上のものを感じた。叩いていた連中もこれを観れば納 得することだろう。
もう一人、準ヒロイン的な立場で物語に巻き込まれる普通の女の子、小泉もハマっている。ちょっと学園ドラマっぽい演技だが、それが原作 の感じを出していて、いい。
他にも新キャラは続々と出てくるのだが、時間の都合上、原作にあるそれぞれのエピソードが省かれてしまったのは残念だった。
サダキヨの老人ホームの話とかヴァーチャル空間でのドンキーとカンナのやりとり を取り入れたら上映時間を5時間は軽く越えてしまう。
ただ、そのために重要な キャラが使い捨てのように見られてしまうのがちょっと悲しい。 BGMの使い方はマシになっていた(前作はやりすぎた)。
それでも多用したほうだけど、もともと荒唐無稽なストーリーなので、あれくらい煽らないと観客に「え、そんなのってありえるの?」と考える隙が出来てしまう。
漫画と映画の最大の溝だろう。漫画だから見れるリアリティが映画になった途端に「ツメが甘い!」と いうことになってしまう。
豪華キャストもそちらに目を向けさせないスケープゴ ートのひとつ。ヒッチコックが無理の多いサスペンス脚本を観客に意識させなかったのは、彼らに考える隙を与えなかったからに他ならない。「補う」でなく「 騙す」というやり方も映画には存在するのである。
スピリッツのインタビューで堤監督が「この映画を観るときは一緒に漫画を持っていって欲しい。見比べるとどれだけ忠実にカットを撮ってるか分かります」と言っていた。
おそらく大半の人は「うわあ、そんなにきっちり絵に合わせて撮っ たんだ。大変だっただろうなあ」とそのまま受け取るだろう。
おれがインタビュ ーを鵜呑みにしてはいけないと思うのは、この点である。日曜洋画劇場で淀川さんが映画を言葉で褒めてはいながらよく聞くとけなしていることが分かる感覚を持たなければいけない。
このとき、堤監督は自身のキャリアとは切り離してこの 映画を観て欲しいと言っているのだ。
何かメッセージを感じて欲しいとか、泣かせますよとかでなく、原作を再現することに砕身し、またそういう種類の映画だと言いたいのだ。
じゃなかったら映画監督が自身の撮った映画で原作をちらちら観ながら鑑賞してくれ、なんていうはずもない。
映画は映画、漫画は漫画。ただ 、今回だけは例外ですよ、と本当は心の中で苦笑いしてるのである。













2009年2月4日 東宝シネマズ西新井にて鑑賞


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