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魔女の宅急便








あらすじ

魔女の子は、13歳になると一人前の魔女になるために1年間の修行に出なければならず、人間の父親と魔女の母親を持つ13歳の少女キキもまた、黒猫ジジを連れて父母のもとを旅立つ。
海辺の町、コリコを修行の場に選んだキキは、親切なパン屋のおかみのおソノさんのおかげで、唯一使える魔法である、ホウキで空を飛ぶ能力を使って荷物配達の仕事を始める。
初めての仕事では、途中の森に荷物を落とすなどトラブルを起こしつつも何とか仕事を無事終了。
女子画学生のウルスラや、少年トンボともお友達となり、少しずつ仕事にも慣れていくキキだったが……。


原作: 角野栄子
監督・脚本: 宮崎駿
制作: スタジオジブリ
配給: 東映
公開日: 1989年7月29日
上映時間: 102分











■ ハイジン

 それでは、カリオストロナウシカラピュタトトロと来て、折り返し地点となる五作目「魔女の宅急便」です。
どうですかね? これは、トトロとは地続きになるんですかね?






■ ニクロ

う〜ん・・・地続きというよりは、いわゆるトトロが、誰の人生の中にでもある日常の中に、フッとお化けが現れるという、物語と呼んでいいのか、という物語に対して、「魔女の宅急便」っていうのは、かなり意図的に組まれた成長物語という気がするんですよね。






■ ハイジン

話自体は少女の通過儀礼ですからね。






■ ニクロ

 そう、それをね、かなり段階を組んで、ココでこうなるから、ココで落ち込んで、で、ココで持ち上げるみたいな、プロットが見えるくらいのしっかりとした物語作りがなされてる作品なんですね。






■ ハイジン

 トトロってのが、過去の誰にでもある体験の中に、トトロを一個配置する事によって、ファンタジーへと変わるのに対して、キキってのは、もう最初から魔女ですからね。
だから、前提としての設定が、トトロとは真逆なんですよね。
だけど、非日常的な所からスタートしているけれど、日常的な世界へと隣接していく構造になってるんですね。
 で、やっぱり、この作品は時代的な背景が大部分を占めていると思うんですよ。
いわゆる、都市型に移行した後の日本を、そのまんま作品に組み込んでいるような。
キキが旅立っていく、というのは、若者が田舎を離れて都市部に就職するニュアンスに近い事だと思うんですね。
その辺が、非現実的な主人公を配置しながらも、現実社会を相対的に描いているような。






■ ニクロ

 なるほどね。ただ、現代社会に入り込んでいく存在が魔女というのが、これ、昔のお爺ちゃん、お婆ちゃんは知ってる、みたいな(笑) 扱われ方じゃないですか。
今の子供は、「そんなの居るのかよ?」で、居たら居たで、「あっ、居た」という、本当鳥を見るような、感じ方というか。






■ ハイジン

その辺の面白さってのは、ありますよね。「魔女だ!魔女だ!」というようなね(笑)。






■ ニクロ

身近な伝説というかね。






■ ハイジン

でも、魔女に関しては、ほとんど掘り下げてはいないですよね。
歴史の上で、どうゆう風に一般市民と関わって来たのか、とかその辺は。






■ ニクロ

背景はあるんやろうけど、作中では描かれないというかね。






■ ハイジン

バックボーンはほとんど描かれないんですよね。基本設定だけで。






■ ニクロ

 ようはね、元々やりたい事がタイトル通り魔女が働きに出て、宅急便をする事だからね。
だから、魔女のディティールはあまり関係がないんですよ。あまり深くは触れない、というか。
魔女にとって、箒で空を飛ぶってのは、人間でいう所の長所なんですね。その長所をどう生かせるか? って所だから。
 で、それだけではダメなんだと気づかされる物語だから。
元々、空を飛ぶって事が、ファンタジー的な要素を持っているんだけど、でも、それがただの一長所にしか扱われない、って所に重要さがあると思うんですよね。






■ ハイジン

 一つ物語の重要なポイントだと思う所に、普通の人間の男であるトンボが飛行船に乗る、というエピソードがあって。
これって、やっぱり箒で空を飛ぶ、という事の対比じゃないですか。それで、フラれたみたいな。
思春期の女の子としての気持ちの揺らぎを、そこで描いていて、それが同時に自分の魔女としての性質とシンクロして、そのまま魔法の力自体が消えていく、という。
この辺の女の子としての情感と、魔法の力とがシンクロしている関係性が面白いと思ったんですね。
 さっき、ニクロは魔法を長所と言ってたけれども、なんとゆうか、魔法すらも女の子の気持ち一つであるというような。
それを、どう克服していくのかという。魔女が一人前になるという話ではあるけれども、少女が女へと成長するか、という。
その辺の構造が、違和感なく緩やかに描かれているんですね。








少女の成長の着地地点








■ ニクロ

 ラストに関してはね、トトロで描いてきた生活感がないんですね。
嫌いではないんやけど、どうもね、それまで地の生活で行ってたのが、ラストで物語的な匂いがして、少し俺は残念かなと思ったんですね。






■ ハイジン

残念なんですか?






■ ニクロ

 だって、別に最後トンボを助けに行かなくても、彼女の成長は終わってるわけやんか。
アレを助けた所で、ワンランク上になるわけではなく、あれは物語での上の、一番上に一番綺麗な飾り付けをしたみたいな。






■ ハイジン

でも、あそこで助けなきゃ、物語としては蓋を出来ないんじゃないですか?






■ ニクロ

あそこは、成長したんだろ、って事を見せる役割なんですよね。






■ ハイジン

 たしかに、そう言ってしまえばあざとさは見えますけど、そうゆう風に出来ている構成じゃないですか、本当に。
あのラストを頂点に持って来ていて。






■ ニクロ

 いや、そうゆうプロット的な事を言うと、俺はトトロがあるからなんですね。
こうゆう事を言いたくなるのは。結局、トトロがプロットを必要としないというか。
しかも、俺がそれを評価している事を加えて、ラストを観てトトロに比べて、あざとさを感じてしまうというのは、贅沢な悩みなんですけどね。
別に、トンボを助けて成長する話ではないからね。






■ ハイジン

でも、助けたというのは、困難を克服する、というか。






■ ニクロ

 でも、あの具体的な困難と言うのは、ようは魔女ってのは、空を飛ぶって事がただの背景だったのが、あそこに関しては若干スペクタルになってるんですね。ラストは。
今までそうゆう扱われ方じゃなかったものが、そうゆう扱われ方になるというのは、ちょっと俺の中では違うんですよ。
 確かに、空を飛べるって事は、人を助けられる事だけれど、だからと言って、空を飛べられる人たちが警察をやっている、という世界でもないじゃないですか。
種類が違うんですよね、魔法のあり方の。
でも、最後にそうゆう持って行き方を魔法で使っちゃったのが、俺はスペクタル的になっちゃったのが首を傾げちゃうというか。
まあ、一番いいんですよアレが。面白いし。一番面白いけど、俺的にはスッといけないんですね。






■ ハイジン

 逆に俺は、ラストにスペクタルな見せ場があったからこそ、そこに産まれるカタルシスがあったと思うんですけどね。
やっぱり、あそこを自力で乗り越える事こそが、成長物語として成立している由縁だと思うんですけどね。






■ ニクロ

 だから、そこで二分化する人ってのはたぶん、途中、ニシンのパイを大雨が降っている中で、雨が降って雷が鳴っている中で届けに行く、フラフラに鳴りながら箒で飛ぶ、あの辺をスペクタルだと多少なりとも思ってしまう人は、たぶん、そうゆう考えになると思うんですよ。
 俺はあそこは、スペクタルじゃなくて、一背景としてしか観ないんですね。
「配達してるんだな、頑張れよ」って気持ちなんですよ。
ただ、あそこを手に汗握って観てる人とは、ちょっと俺は若干違うんですよ。






■ ハイジン

あのシーンを観て手に汗握るというのは、なかなか居ないんじゃないんですか(笑)。






■ ニクロ

 手に汗握るではないけれど、多少なりとも、そうゆう気持ちというか、絵的な面白さで、高揚感なりを多少なり持っちゃう人とは、ちょっと俺は違うんですよね。
俺の中では、本当に魔女の「宅急便」なんで。単純に。そこで完結しちゃうというか。
 だから、そこをスペクタルだと認識してる人は、ラストもすんなりいけると思うんですよ。
今まで、飛行、飛行、と続いて来て、最後も飛行と来るから、それが当たり前というか。
スッと入れるみたいな。俺は、違うんですね。求めてるモノが違うというか。






■ ハイジン

では、求めてたモノとは、どういったラストなんですか?






■ ニクロ

そう言われるとね、「じゃあ、お前だったらどうするのか?」みたいな事を言われると、苦しいんやけどね。






■ ハイジン

別に、具体的には言わなくてもいいんですけど。ようは、どういった事を求めていたのかを。






■ ニクロ

 結局、宅急便という仕事の中でそれ(成長)を見せて欲しかったんですね。
生活レベルからはみだして欲しくなかったというよりは、いわゆる、一長所である魔法という設定が、ラストのアレが成立しちゃうと、今度からは警察にも頼まれるんじゃないか、というような。
変な気さえしてしまうんですよ。






■ ハイジン

ようは、最後の救出シーンだけが、それまでの(魔女の宅急便としての)生活レベルから一変して、一気に違う所に飛んで行った事に対する違和感という事ですかね?






■ ニクロ

ちょっとした違和感なんですよ、本当に。ちょっとしたなんですけど、それを感じてしまうんですよ。






■ ハイジン

 「魔女の宅急便」てね、急に終わるじゃないですか。
まあ、急にかどうかは、人によって感じ方は違うとは思うんですけど、俺の中では急に終わるんですね。
だから、ラストに向かって、どんどんエンジンをシフトチェンジしていって、ガンガンに上げていって、エンジンを5段階の5まで上げた所で終わるんですね。
 だから、生活レベルから始まって、飛んだ先で終わるという構造ではあるんですよ。
また、生活レベルまで戻るわけではなくてね。事後談としての手紙で、処理はしてはいるんですけどね。






■ ニクロ

まあ、そうゆう事ですよね。






■ ハイジン

それでは、「魔女の宅急便」はこれくらいで。



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